企画展「引札の魅力―近代広告の黎明期―」

開催日
平成26年8月9日(土)~9月28日(日)
時間
9:00~17:00(年中無休)
会場
えさし郷土文化館 第二展示室
料金
入館料のみでご覧いただけます。

 現在、メディア媒体の進展に伴って多種多様な広告が世の中に溢れていますが、その歴史を紐解くと、江戸時代に誕生した「引札」が我が国の近現代の商業史に大きな役割を果たす広告の端緒となっています。
 引札は江戸時代後期頃から昭和初期にかけて用いられた広告物で主に商店などの宣伝のために作成し、頒布されてきました。当初は錦絵同様に木版刷りでしたが、明治30年代になると大手業者による機械木版刷りや石版刷りなど多色刷りで大量印刷できる引札が登場し、今日に現存する引札の多くはこの時代のものが大半です。このような大手業者は、好きな図柄を見本帳から選んでもらい、空白部分に商店名などを印刷する手法を用いたことで、安価に広告を作成することを可能とし、その需要を伸ばしたことから、広告は庶民の生活にとってより身近な存在となりました。
 明治以降、特に「正月用引札」が人気を博し、図柄には七福神や縁起物などが描かれ、また、当時の風俗や鉄道・電話などの新技術を描きこんだものも多くみられます。さらに、すぐに捨てられない工夫として現在のカレンダーに相当する略歴や、郵便物の価格表などを組み込んだものなどもあり、引札は我が国の商業経済の広がりと活発化、そして、庶民文化の発展を反映した歴史資料といえます。

 本展では、当館が所蔵する引札を中心に公開し、色彩鮮やかな引札の魅力を堪能しながら地域史を探る機会にしたいと思います。一枚の引札から伝わってくる江刺地方の漆喰の蔵の街並み、商店街の賑わい、路地裏で遊ぶ子どもたちの姿。時代の変化の中で失われた地域の光景を感取して頂ければ幸いです。