えさし郷土文化館開館25周年記念特別企画展
北の防人たち―岩谷堂足軽と蝦夷地警衛—

江刺郡からシラヲイへ 足軽たちがつないだ北方防備の実像

近世の江刺郡(現・岩手県奥州市江刺)は、仙台藩領の北端に位置し、盛岡藩領との境を接していたことから、藩境防備の要衝として重要な役割を担っていました。元和8年(1622)、その戦略的重要性を背景に、藩主・伊達忠宗の譜代家臣によって岩谷堂に足軽が配備され、地域的な軍事体制の礎が築かれます。寛永20年(1643)には岩谷堂城代の預かり足軽、のちに岩谷堂伊達家の預かり足軽として組織に編入され、当初二組50名であった体制は、寛文10年(1680)以降に四組137名へと拡充され、明治維新まで続きました。

幕末の安政2年(1855)になると、ロシア勢力の南下に備えた幕府の命を受け、仙台藩をはじめとする東北諸藩による蝦夷地警衛が始まります。岩谷堂の足軽たちもその一員として東蝦夷地・白老元陣屋を拠点に派遣され、陣屋の整備や国後島方面の警備など、多岐にわたる任務にあたりました。厳しい自然環境と慣れぬ土地での生活は過酷を極めましたが、残された史料には、緊張に満ちた日々の記録とともに、現地住民との交流や共生の様子もうかがえます。

近年では、白老町の国史跡・仙台藩白老元陣屋跡に隣接する「仙台藩元陣屋資料館」と当館との間で、「白老元陣屋之図」を介した学術交流が進むなど、両地域を結ぶ歴史的なつながりが改めて注目されています。

本展では、これらの史料を通して、岩谷堂足軽の視点から白老元陣屋と東蝦夷地警衛の実態に光を当て、仙台藩の北方防備の歴史を多角的に紹介します。あわせて関連講座も開催し、展示をより深く理解していただける機会を設けます。

「北の防人」たちが歩んだ知られざる歴史の一端に、ぜひふれてみてください。

会期
令和7年11月1日(土)~令和8年2月8日(日)
開館時間
9時30分~16時00分
休館日
令和8年1月1日 ※その他、会期中無休
共催
えさし郷土文化館、奥州市教育委員会
協力
白老町仙台藩白老元陣屋資料館、しらおいイオル事務所チキサニ、石巻市博物館、一関市博物館、南鱗文庫、愛宕山興性寺

関連事業(講演会)

会場(各回):えさし郷土文化館 研修室
時間(各回):13時30分~15時00分
定員(各回):40名
資料代(各回):400円(入館料込)
申込方法(各回):電話またはWEBサイトの申込フォームからお申込みください

講演会 ① 「陣屋跡の歩み ヒト・モノ・コト」
(1)日 時:令和7年11月16日(日)
(2)講 師:平野敦史 氏(白老町仙台藩元陣屋資料館学芸員)

講演会 ② 「幕末の蝦夷地と仙台藩―白老陣屋を中心に―」
(1)日 時:令和7年12月7日(日)
(2)講 師:菊池勇夫 氏(一関市博物館館長・宮城学院女子大学名誉教授)

北の防人たちヨコスト湿原(白老町)

北の防人たち仙台藩白老元陣屋跡(国史跡)

北の防人たち仙台藩士が植樹した赤松(白老元陣屋跡)

北の防人たち安政3年に仙台藩士が勧請した鹽竈神社(白老元陣屋跡)

北の防人たち関連講演会申込フォーム

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